YouTube(ユーチューブ)が新サービスである「YouTube Red(ユーチューブ・レッド)」を発表したのは、米国時間で10月21日のことでした。動画投稿・共有サイト最大手が導入を決定したこの有料サービスについて、ウェブ報道を参考にしながらまとめてみます。
目次
YouTube Redとはなにか?
『YouTube Red』は、動画投稿・共有サイト YouTube が発表したYouTube向けの新サービスです。ユーザーは月額9.99ドル(米国の場合)を支払うことによって、「広告の非表示」「動画のオフライン再生(ダウンロード)」「モバイル端末アプリを使ったバックグラウンド再生」といった機能を利用することができます。
また、会員登録を済ませてしまえば、同一アカウントを使用することでスマートフォン / タブレット端末 / パソコン / スマートテレビと、異なる媒体からこれらの機能を利用することも特徴のひとつです。ゲーム実況ライブ配信サービスの「YouTube Gaming」や「YouTube Music」などの関連サービスにも機能は適用されるほか、YouTuber(ユーチューバー)による『YouTube Red』限定コンテンツやオリジナルコンテンツも用意される見通しになっています。
さらにGoogleの音楽サービス「Google Play Music」の会員サービスも利用できるようになります。逆にすでに「Google Play Music」の会員になっているユーザーは『YouTube Red』の機能が使えるようになります。
Meet YouTube Red
YouTube Red提供の理由
YouTubeによれば、お気に入りのクリエーターをサポートする方法や広告無しサービスを追加して欲しいというユーザーからの要望に応えるために『YouTube Red』の提供を決定したと説明しています。
確かに広告が無いとスムーズに目的の動画を再生できますし、好きなクリエーターには投げ銭ぐらいしたいとも思いますね(思いませんか?)。
収益は権利者に還元
『YouTube Red』で得られる収益については、その大部分が権利者に還元されます。ミュージックや映像コンテンツの権利者への対価を確保しつつ、その見返りにユーザーは動画を見るたびに焦らされる5秒から60秒の全く興味の出ない広告から解放されるという訳です。
さらにいえば、必要最低限ながらYouTubeの機能が拡張されることで、これまで非公式アプリケーションを使って補っていたそれらの労力からも解かれ、セキュリティ性も増すように思います。
クリエーター(YouTuber)からは懸念の声も
あたかもコンテンツ保持者とユーザーの諸問題を解決することにひと役買いそうな『YouTube Red』ですが、人気ビデオクリエーター(YouTuber)にYouTubeが持ちかけた提案が議論を呼んでいます。
その内容は「YouTube Redの広告収益分配契約に署名しない場合、クリエーターがアップロードしているコンテンツを削除する(非公開にする)」というもの。このクリエーターにとって選択の余地がない提案に、十分な説明がされていないことで不安が拡がりました。
やや高圧的ともとれるYouTube側の提案と、現在よりも収益が減少してしまうのではないか?ということを想起してしまうパートナープログラム規約の変更に十分な説明がないことで、「YouTubeがネット上の動画コンテンツに対し、強い力を持つのではないか?」「YouTuberとしての活動に制限が出るのではないか?」といった声が出ているといいます。
ひと言でいえば、クリエーターにとってのメリットが提示されておらず、対等な関係を構築するのも危うくなるという懸念がありながら、それを払拭するほどの説明がないという現状が生んだ不安になります。
なお、YouTubeは99%のコンテンツがこれまでも変わることなく閲覧できると説明しています。
ちなみに、これらは記事執筆段階においては米国に限った話であり、対象となっているクリエーターには9月の段階で契約更新を促す通知が送られているそうです。日本など米国以外の国ではどのような動きになるのかは不透明ですが、大きくは変わらないのではないかと推測できます。
そして、安心してください。ホームビデオをアップロードしているような一般のユーザーはこれらの提案には関係ないとのことです。
日本での提供が開始されてから考える
YouTuber(クリエーター)のコンテンツは『YouTube Red』に加入しないと見られなくなるかも!?といった憶測もあります。これが正式な発表か噂に尾ひれがついたのかは判断できませんが、『YouTube Red』は世界各国で順次展開される予定ですので、日本でのサービス提供開始時期の報道を追っていれば、ゆくゆくは分かってくるかと思います(ちなみに米国では2015年10月28日から、日本では未定)。
たぶん、日本での月額使用料も980円とかそんな感じかもしれませんしね。だって「Google Play Music」が月額980円でしょう?そこからの安易な推測です。
雑感としては、『YouTube Red』は(使い方によりますが)ユーザーからするとメリットがあるかもしれないサービスで、クリエーターからするとちょっと不安が残るものとなっています。「収益が増えるぞ!」と云われれば、クリエーターも賛成したんでしょうけどね。YouTubeで生活費を稼いでいる人からすれば、ドキッとする内容なのかもしれません。
参考にした記事
YouTubeが広告なしの有料サービス「YouTube Red」発表、オフライン視聴やGoogle Play Musicの利用も可能(GIGAZINE)
YouTube、”Red” 契約に署名しないクリエーターのビデオを全面削除へ(TechCrunch Japan)
YouTube、聴き放題サービス Music Key と広告非表示をセットで近日提供?クリエーターに契約更新メール(Engadget Japanese)
ユーチューブ、広告無しの有料会員サービスと新音楽アプリを発表(AFPBB News)
YouTubeの定額サービス「YouTube Red」にユーチューバーたちの不満が爆発(ギズモード・ジャパン)
有料動画視聴サービス YouTube RedはYouTuberを生かすか殺すか(MdN Design Interactive)
関連リンク
YouTube Red