「もし今からスマホを購入するとして、あなたならiPhone買いますか?」
まずはこちらのニュースをご覧ください。
"アップルの時価総額、株急落で5兆4000億円減 JT1社に匹敵" 日本経済新聞
このニュースを見まして、思い出した一節がございます。
"祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。"
ご存知、平家物語の有名な一節です。
どんなことを伝えているかと言いますと、どんなに栄華を誇っても、いつかは衰弱していくものなんですよ、といった内容です。
かなり省略しましたが(笑)
これは一個人に於いてもそうですが、政府のような大きな単位のものまで共通して言えることではないでしょうか。
現に、人類が誕生してから今までに至るまで続いている政府は一つもないです。
話を戻しますと、この平家物語一節は個人的に非常に好きでして、「どんなに今は盛り上がっていてもいつかは限界がくるものなんだよ、だから身を引き締めていこうね」という戒めになる格言ではないかと考えます。
人間というのは浅はかなもので、おだてられるとすぐに舞い上がってしまうものです。
私は、自分自身が舞い上がってしまい、天狗になってしまうことを経験致しました。
今思い返しても、それはもう空恐ろしい時期でして、そういった恥ずかしい時期を経験すると、その後の人生において人間謙虚になれることも増えるというものではないでしょうか。
話を戻します。
事業や人生など、長いスパンで物事を見ますと、どんな人でも必ず【波】が存在致します。
良い時期と悪い時期があるわけです。
この波の良い時期、つまり調子が良い時期というのがなかなかの曲者でして、人生で到達した頃のない最高地点へ行くと、人間舞い上がってしまい、天狗になってしまう可能性が出てくるわけです。
別に天狗になるのが悪いわけではなくてですね、天狗になると人格が変わってしまうケースが問題なのです。
正確に言うと、普段は理性で抑えている他人にはあまり見せない自分の本質が出て来やすくなるといった感じでしょうか。
ですので、元々の性格が人に嫌われることのない素晴らしい人格者であれば問題ないのですが、そうでない場合が問題なのです。
私の場合は横柄な態度になってしまったので、非常に思い出したくない記憶でございます(汗)。
それはさておき、これが一個人の問題であればいいのですが、企業全体に蔓延すると大変なことになります。
何故なら、価値を提供し続けるための商品開発や販売が上手くいかなくなり、結果として「売上減少 → 企業価値の低下 → 最悪は滅びる」まで行ってしまうからです。
これはしょうがないことなんだと私は思います。
だって人間だれでも褒められたいものですからね。
当然、褒められれば豚も木に登っちゃうわけでして、問題は多数の人が木に登ったらどうなっちゃうの?ってことなんですが、登りきっちゃうと衰弱しちゃうわけです。
なので、登る余地があるうちは全然いいんですけどね。
これがいわゆる大企業病と呼ばれるものでして、昨今ではJAL、ちょっと古いケースだとダイエーなどが有名なところだったのではないでしょうか。
そして上記の新聞記事のお話になります。
今の時価総額世界一となった企業アップルの繁栄は、紛れもなくスティーブ・ジョブズがもたらしたものです。しかし、そのジョブズが他界した今のアップルに時価総額世界一を維持するほどの価値が創造できるでしょうか?
個人的には難しいのではないかと思います。
やっぱり世界一になった!とわかったら、私のような凡人だと慢心してしまいますよね。
しかし、企業というのは継続して価値を提供し続けなければ存在する意味がないわけでして、世界一の企業といえども価値を提供し続ける=維持することをしていかなければならないわけです。
ところがこれがとても難しいことでして、常に経営者の頭を悩ませている慢性的問題なのではないでしょうか。
いかにして過去の成功法則を捨て、新しい価値・商品を提供していくか。
これができれば企業は存続していけるのですが、これをするにあたってスタッフの多くが木に登り切ってしまう状態になってしまうと、これができなくなってしまうわけです。
何故なら、気に登り切っている=最高=最高の物を変える必要はない=新しい価値・商品を提供する必要がない、となるからです。
これが天狗になってしまう一番のデメリットではないでしょうか。
なので、自分を戒めるということがいかに大切なのか、改まって感じる次第です。
ちなみに、天狗になっているかどうか?ということはなかなか本人では気付きにくいことで、そんな状態の人には何を言っても通じないケースが多いです。
また、このように天狗になっているスタッフが多かったり、天狗時期が長かったりすると、企業の衰退スピードがどんどん加速するのではないかと私は考えております。
基本的に企業や団体や人間なども必ず衰退するものですが、この衰退する時期を如何にして遅らせるか?というのは経営者の永遠の課題なのではないでしょうか。
後ろ向きなので言い方を変えますと、最盛期をいかに維持し続けるか、ということになるのでしょうが。
アップルのお話に戻ります。
これは私の予想なのですが、恐らくジョブズが生きていたら、ここまで急激に落ち込むことはなかったのではないかと私は思います。
視線が顧客=ユーザー側を向いていれば、新しいiPhoneにもユーザーが喜ぶような機能や要素が搭載されると思いますし、それが新しい価値の創造に繋がったのではないでしょうか。
つまり結論としては、同じアップルという企業が発売した商品であっても、年月とともに商品価値が変化するのが当たり前で、今のiPhoneと3年前のiPhoneの価値は世間一般的には同じですか?ということを言いたかったのです。
当然現在のiPhoneが以前と変わらず高いブランド力を持っていると考える人は購入すると思いますし、以前ほどのブランド力がないと思っている人は買わないだけなんですけども、そんな一人ひとりの様々な思惑が株式の売買に数字として現れているんでしょうね。
というお話でした。
しかし、一日でJT(日本たばこ産業)1社分の価値がなくなってしまうってスゴいよね。
言い換えるなら、企業なんて1日で潰れる可能性があるってことなんじゃないかな?
なんて極端に考えてみました。
あ、ちなみに、死ぬまで全勝する類まれな人に関しては、私にはわかりませんので、そういった人はそんな人生を歩んだ人のご意見を参考にしてください。
@私のやきとり
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