新宿に納豆ラーメンを出す店があると聞いて早速出かけてみた。
新宿西口にあるそのお店は、昼時ともなるとサラリーマン客でごったがえす繁盛店である。私も、一度その店でチャーシューメンを頼んだ時に、そのチャシューのボリュームに圧倒された記憶がある。それ以来足を運んでいないのは、味のせいではなく、常に“待ち”がある為、時間が許してくれなかったからである。
納豆ラーメンがあると聞いて、まさかあの繁盛店がそんなゲテモノを取り扱っているのかと驚いたが、新宿で働いている以上これは挑戦せざるを得ないと、誰に求められたわけではないが、その店に足を運ぶことにした。
店頭のディスプレイには、納豆ラーメンの存在はなかった。入口で何度も引き返している私が納豆らあめんに気付かなかったのは、このディスプレイのメニューしか頭に残っていなかったからかもしれない。
中に入り、食券を買おうとすると確かに『納豆らあめん』の文字があった。
店内は改装したばかりでとてもキレイで広々としている。お昼の時間からずらしたにもかかわらず相変わらずの混雑ぶりだ。
席に着き食券を出すと
「なっとう一丁!」の声が響き渡る。個人客のサラリーマンは、その声に動じることもなく、黙々とラーメンを食べている。
そこに響く、カシャカシャと納豆をかき混ぜる音。
「あ~うめぇ」
誰に言うわけでもなく、隣の席のサラリーマンがつぶやいた。思わずもれた言葉だろう。
果たして、私はこれから対面するラーメンに対して同じ感想をもつことができるのであろうか。
着丼。
やはり目を引くのは右下にある泡の部分。
パッと見では、“豆”は見つからない。
刻みノリの下にきっと、彼らは潜んでいるのであろう。
麺を持ち上げてみる。
いた。
泡にまみれた豆と麺を口にいれてみる。
ん。想像と違いねっとり感もなければ、納豆の独特の臭さもない。
ちょっぴりヌメっとした感じだ。
そしてチャーシュー。
厚みのある自慢のチャーシューも、納豆汁まみれ。
口に運ぶ際に、頭の中で「せーの!」という掛け声が必要であった。
きっと、納豆のうま味だけが取り出されて、
ラーメンの味を引き立てているのだろう。
と、信じながら食べたが
口に運びながら、色々味を分析してみると
『なっとうっぽさを失った何かが入っているラーメン。』
というのが、私の結論であった。
私がまだまだ未熟だからそうとしか思えなかったのかもしれない。ラーメンの道は奥が深い。
わたしには分からなかったが、きっとあの味の虜になっている人もいるはずである。
でなければ、こんなに繁盛するはずがない。
ただ私は、「あ~うめぇ」とつぶやけるように普通のラーメンを頼もうと思います。
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